上智大学法学部 Sophia University Faculty of Law

法曹コース認定

 2020年1月30日付けで、文部科学省に申請していた上智大学法科大学院と上智大学法学部との法曹養成連携協定(法科大学院と司法試験等の連携等に関する法律6条3項)が認定されました。

 これに伴い、2020年度より、上智大学法学部では法曹コースを設置し、「法学部3年間+法科大学院2年間」の5年一貫で司法試験合格を目指す法曹コースにおける教育を開始いたします。

 これまで、法曹資格を得るためには時間と費用がかかると思われがちでしたが、新たに設置する法曹コースは、法学部・法科大学院の教員、弁護士チューター等の手厚いサポートのもと、法科大学院在学中の司法試験合格を目指すための新たな制度です。法曹を志望する皆さんの積極的な参加を期待します。

 上智大学法学部では、1年次の1月末に法曹コース生を募集し、法曹コース運営委員会の下で司法試験の早期合格を目指した教育指導を集中的に行います。法学部・法科大学院の教員に加え、若手の弁護士がタッグを組んで法曹コース生を指導するサポート体制を組み、法曹コース生用の演習、正課外のゼミ等を通じて丁寧な指導を行います。法学部での3年間、法科大学院2年間のそれぞれの段階での目標を定め、司法試験合格への道標を明確に示します。様々な形での学習支援や法科大学院進学後の奨学金制度も充実しています。法曹を志望される方は、ぜひ、上智大学法学部「法曹コース」に御参加ください。

5年間一貫プログラムの流れ

5年間一貫プログラムの流れ

法曹コースの具体的内容

  1. 法曹コース指定科目:法曹コース生は、各学科の必修科目とは別に、コースを修了するための指定科目を全て履修する必要があります。
  2. 法曹コース生用演習:法曹コース生を対象とした演習が開設されます。
  3. チューター・ゼミ:弁護士である講師陣(チューター)による各種のゼミが提供されます。
  4. 各種の自習教材:法科大学院で利用しているビデオ教材や、TKC教育支援システム等、自学自習を進めるための充実したツールが提供されます。
  5. 到達度確認試験:学習の到達度を確認するための試験を実施します。
  6. その他:そのほか、夏季休暇時のゼミ、月1回の月例会、講師陣とコース生等との交流イベント等を行います。

上智大学の5年一貫教育の特徴

法学部・法科大学院が一体となって早期合格への道をサポートするプログラム

少人数教育によるきめ細かな指導

充実したサポート

2023年度5年一貫型進学予定者に聞く

佐藤 亮太
(法律学科3年・聖光学院卒・2020年度入学)

山崎 天
(法律学科3年・法政国際卒・2020年度入学)

聞き手:照沼 亮介
(法学部教授)

Ⅰ 法曹コースを志望した理由

佐藤
実際に法学部に入って1年次の法律科目の授業を受ける中で、議論が論理的に進められていく様に惹かれ、法律に関わる仕事がしたいと思うようになり、法曹コースにチャレンジしてみようと考えるに至りました。特に刑事弁護に関心を抱いたのですが、将来については現在はいろいろな可能性を考えるようになっています。
山崎
そもそも小学生だった「2分の1成人式」の辺りから弁護士になることを考えるようになりました。付属校だった関係で当時の同級生の大半はそのまま内部進学したのですが、高校生の時にオープンキャンパスで訪れた際の印象が良かったのと、法曹コースが新設されるということを耳にしたので、ぜひ上智の法学部で勉強したいと思い入学しました。将来的には弁護士として、家族の経営する会社の手助けができるようになれればと思っています。

Ⅱ 2年次の生活・法曹コースAクラスの授業について

佐藤
1年次はコロナ禍でまったくキャンパス内に入ることがなかったので、進級し、初めての対面授業や期末試験に慣れるのはそれなりに大変でしたが、法律学の勉強が好きになっていたので、専門科目が増えてむしろ楽しかったです。自分はもともと一人で勉強してしまうタイプで、交友範囲もあまり広くありませんでしたが(笑)、試験前には初めて友人と勉強したりしました。
法曹コースの授業では毎回課題が出され、また、毎月の月例会でミニテストが行われたりするので、少しずつ短答式の問題に慣れ、知識を定着させていく必要があります。自分の場合は、コース生がウェブサイト上で利用できる短答式の過去問を平素から―通学に時間を要するので行き帰りの車内などで―少しずつ解くようになりました。ただ、それらの解説では判例の趣旨等が簡潔に記されているだけの場合が多いので、そこから掘り下げて判例や教科書の内容を確認することで、次第に基礎力が身に着いていったように思います。個人的に、短答式はとにかく量をこなして慣れることが肝心だと思っています。
山崎
私も、法曹コースの授業での予習・復習に加え、大学の講義で勉強した範囲について過去問を解き・・・という感じでした。ウエブサイト上で提供される基本科目のビデオ教材(基礎固め講座)を繰り返し視聴していく中で、講義で学ぶ内容の基本的な理解が身に着いていったように思います。
夏休み中は、法曹コースの先生方が担当して下さる集中講義(当時はオンライン)が有益でした。特に照沼先生の授業は頻繁に発言を求められるので、やばい準備しなきゃ・・・と思ってそれでビデオ教材をあらためて真剣に見た記憶があります(笑)。夏休み明けには本格的な到達度確認試験(憲・民・刑3教科の短答式試験)が実施され、以後毎月のように行われていくことになるのですが、それらの成績が5年一貫型の選考に際しては重視される要素になるということを伝えられていたので、それ以来さらに択一の練習に力を注ぐようになりました。
佐藤
応用演習という授業で初めて本格的に論述の答案を提出するようになり、別途並行して添削プログラムで答案を提出し添削して貰うことになったため、負担という面ではこの頃はかなりしんどかったのですが(笑)、2年次の早い段階で答案の書き方に関する形式的なポイントなどを教えて頂いていたので、それらの経験が非常に有益でした。
山崎
私は2年春学期の期末試験で少し不本意な成績になってしまっていたので、早期卒業・コース修了要件や5年一貫型選考との関係でこれ以上落とすわけにはいかないと思い、秋学期の授業や試験は以前にもまして頑張ったのですが、幸いその成果が出て挽回できたのでほっとしました。特に秋学期からは、コース内で友人もできてお互いに助け合えるようになりました。
論述に関しては、私も大変でした(笑)。ただ、型式面については早い段階でレクチャーして頂いていたので、少しずつ型のようなものは意識できるようになってきました。添削プログラムでは、科目によっては先生がとても詳細に添削して下さり、答案の方向性とは異なる考え方に立った場合のポイントなどをまとめたレジュメを付して下さったりしたので、大変勉強になりました。

Ⅲ 3年次の生活・法曹コースSクラスの授業について

佐藤
3年次になると商法や民訴法、刑訴法の授業も始まるのですが、科目によっては抽象的な話が続き、具体的なイメージが持ちにくかったこともあり、やや苦手意識がありました。ただ、法曹コースの授業が次第にそれらの科目にシフトしてきましたし、現在では5年一貫型の進学予定者の皆さんと自主ゼミを組んで問題を解いたりするようになったので、少しずつ克服してきているように思います。それと、選択科目についても自分に向いていると思えるものが見つかったので、頑張って取り組んでいるところです。
山崎
春学期は必修演習という科目で、より多くの法律科目について論述の練習の機会を持つことになりました。まだまだ伸びしろだらけという感じですが(笑)、昨年度よりは落ち着いて取り組めるようになったかなとは思います。到達度確認試験の成績も少しずつ安定はしてきたのですが、まだまだだと思いますので今後も継続して努力していきたいです。
大学の講義全般に関して言えることですが、授業期間中はまだ何が分からないのかも分かっていないまま、課題や答案提出に追われて時間が流れて行ってしまいがちです。2年次の春休み、それに3年次の夏休みも法曹コースの先生方が随時集中講義(現在はオンライン・対面双方あり)を実施して下さいましたが、長期休暇期間中に自分の理解の不十分な点に気付き、弱点を補えるので、個人的にとても助かっています。
佐藤
夏休みには5年一貫型志望者対象の入試がありましたが、その直前の時期はギリギリまで悩んでいて、照沼先生にもご相談したかと思います。短答式=到達度確認試験では安定した成績を得られるようになったのですが、法科大学院に進学した後の在学中受験までの時間の短さを考えて不安になっていました。ただ、今の仲間と少人数でお互いに助け合 って早期合格を目指すというのが結局自分にとって最も合っているという結論に至りました。
山崎
5年一貫型に選ばれた他の方々を見ると優秀で人間的にも親しみ易い方ばかりで、頑張ってついていかなきゃと思います。特に、上智では4年生であっても5年一貫型の対象に入ることが可能なのですが、今回同期になる4年生の先輩はすごく優秀な方で、普段の授業でもいつもしっかりした発言をしておられるので、なんとか少しでも追いつけるように頑張りたいです。

Ⅳ 今後の抱負/後輩や受験生の皆さんへのメッセージ

佐藤
先程も触れましたが、やはり少人数という環境が自分にとって一番向いていると思っています。これまでも一緒に頑張ってきた仲間同士で、法科大学院に進学した後もお互いに助け合って一緒に頑張ることができるというのはモチベーションになりますし、これまで指導して下さり、自分たちのことをよく把握して下さっている先生方が進学後も手厚くサポートして下さるというのはとても心強いので、このような環境を最大限に活かせるよう頑張りたいです。これを読んで興味を持った方にもぜひチャレンジして欲しいと思います。
山崎
ほぼ同じなのですが、やはり同じ目標を持つ仲間が一緒に切磋琢磨できる環境というのはとても大切だと思います。経済的な事情やその他の理由で合格に向けての最短コースで頑張りたいという方には最も魅力的ですし、個人的には法曹コースに入らなければここまで頑張って勉強するということ自体がそもそもなかったのではないかと思います。法曹コースの先生方は実務家教員・研究者教員の先生ともに本当に親身になって普段から相談に乗って下さり、指導して下さいます。自分も頑張ってみたいと思った方、ぜひ挑戦してみて下さい!

(対談日:2022年10月19日)