法曹コース出身の司法試験合格者体験談
M.Kさん(女性)
2023年司法試験合格 受験回数1回
上智大学法学部国際関係法学科卒
- 法曹コースの魅力を教えてください。
- 法曹コースの最大の魅力は、最短ルートで司法試験合格を目指すことができるという点です。今までの制度では、大学入学から司法試験合格までに最低でも7年かかり、進路選択の足枷になっていたと思います。しかし、法曹コースであれば5年で合格することが可能になるため、画期的な制度だと感じました。
学部から司法試験受験までの間、非常に手厚いサポートを受けることができるという点も大きな魅力です。学部法曹コースでは、学期中の補講、長期休暇中の課外講義など常に学習する機会が用意されているので、早いうちから必要な知識を少しずつ蓄えられるとともに、司法試験を意識した論文練習を始められます。また、ロースクールに入ってからも、定期的な短答知識の確認テストや到達度確認試験、長期休暇中の課外講義、担当教員の先生やチューターの先生方によるゼミ指導・添削指導など、在学中受験にむけて、通常の講義の他にプラスαのカリキュラムが組まれていました。これらを活用することによって、自分の状況を客観的に把握しつつ足りない知識を補うことができたと感じています。
特に、数多くのゼミや補講を開講していただき、それらに参加できたことは、私の司法試験に向けた勉強のなかでとても大きな意味がありました。生徒それぞれが必要な時に必要なサポートを受けられる環境が整っていたと言えます。
- 司法試験を志した経緯、理由を教えてください。
- 私は、大学に入学した時点で、法曹の仕事に漠然とした憧れを持っていました。社会で起こる多数の紛争や問題の大半が法律によって解決されていると考えた時、法律というツールを手に入れることが、人を助けることのできる一番の近道であると感じたからです。
本格的に司法試験を目指そうと決心したのは、法科大学院進学が決まったタイミング(学部3年生夏)です。それまでは自分が法律の勉強に向いているのか、司法試験を突破できるのか、正直自信が持てませんでした。しかし、学部の法曹コースの講義で司法試験の受験に向けた勉強を始めたことにより、現実的な目標として徐々に司法試験を意識しはじめ、先生方との面談を重ねるうちに少しずつ自信がついてきたことから、3年生の夏の時点では司法試験の合格を心に強く思い描くようになりました。
- 法曹コースに進学した経緯を教えてください。
- 私はもともと学部入学時点では司法試験の受験を明確には考えておらず、漠然とした興味を持っているだけでした。
学部2年生から法曹コースに参加したのは、単純に新しいカリキュラムに興味があったからです。また、学部の授業より手厚く専門的な講義を受けられる良い機会だとも思いました。
最終的には、法曹コースをきっかけに法科大学院への進学および司法試験の受験を目指すようになったことを考えれば、参加を決めたことは私の人生の分岐点とも言えます。法律という学問、または、司法試験のための勉強に対する自分の向き不向きを確かめるという面でも、気負わずに参加してみることを強くお勧めします。
- 学部法曹コースでの学習状況を教えてください。
- まず、大学の授業は、履修している授業についてはノートをとり、期末試験の対策として復習をメインに進めていました。法曹コースでの大学院進学も見据えて、なるべく良い成績を取れるように心がけていました。
次に、法曹コースの勉強は、毎週出される課題をしっかりと提出するようにしていました。学部時代は特に知識量が少なかったため、課題を解く上でわからない点が多くありました。そういった場合には、逐一教科書を読んで確認することで少しずつ知識を補充していきました。
一方で、私は二つのサークルに所属し、塾講師のアルバイトや議員事務所でのインターンにも取り組んでいました。また、友人とは日頃から食事に行ったり旅行に行ったり余暇の時間を多くとっていました。学部時代は、自由な時間が多く、その期間にしか挑戦できないこともあると思います。確かに講義や自習に真剣に取り組むことは重要ですが、司法試験等の勉強のみに集中するのではなく、視野を広く持って様々な経験を積むことに時間を割くのも大事だと思います。
- 法曹コース生としてロースクールに進学する場合、2年生として入学することになり、3年生の7月には司法試験を受験することになります。つまり、ロースクール入学から1年3か月ほどで司法試験を受験するというハードなスケジュールだったかと思いますが、ロースクールではどのように学習されていましたか?
- ロースクールに入って最初の春学期は、自分の知識量と必要な知識量の差に愕然として、ソクラテス方式の授業に備えて予習には多くの時間を割いてました。入学当初は、授業の準備に時間が取られ、自分の勉強ができないことを悩んだ時期もありました。しかし、後から振り返れば、授業の進みに合わせてある程度まとまった範囲ごとに予習復習をする中で、判例を徹底的に読み、基本書を読み、自分の理解の曖昧な部分を明らかにすることができ有意義だったと思います。知識量に不安がある人は、まずはロースクールの授業に真剣に取り組むことが第一歩だと思います。
夏休みは春学期の学習の補足として派生的な判例・資料を確認したり、自分の不安な範囲についてまとめノートを作成したりしていました。学期中は予習復習やテスト勉強、課題提出などに時間が取られると思うので、長期休みは、科目ごとに重要な知識を一元化したまとめノートを作るのに最適な期間だと思います。
秋学期は、引き続き授業の進度に合わせて学習を進めるとともに、本格的に短答の対策を始めたり、時間制限を意識して起案の構成をする練習をしていました。
春休みには、全国模試を受けて自分の立ち位置・知識の定着度合いを把握し、司法試験までの計画を立てました。私自身、D判定E判定を受けた科目については勉強の不十分さを突きつけられて焦りを感じたこと、一方で、短答で難なく解けた範囲や良い判定をもらった科目については少し自信を持つことができたことをよく覚えています。春休みは司法試験まで半年を切り、時期的に自分の勉強を見つめ直す最も重要な時期です。模試の結果を受けて、科目ごとに到達目標を設定し、残り数か月でいかに成績をあげられるかを考えて勉強の計画を立てるといいと思います。
3年次の春学期、司法試験前の3、4ヶ月は、ひたすら短答対策と起案を繰り返す日々を送っていました。短答については、特に不安があったことから、過去問冊子を平均4日で一冊のペースで回していました。起案については、自主ゼミや、授業科目である公法・民事・刑事の各総合科目の事前課題を解くことをペースメーカーにして、毎週6通以上の起案をしていました。先生を含めたゼミとして刑法、行政法、憲法、民事訴訟法、友人との間では会社法と民法の自主ゼミを組んでいたので、定期的・継続的に幅広い科目の論述を練習することができたと思います。
- 司法試験合格に必要なことを教えてください。
- 私が合格した要因は、大きく分けて2つあると考えます。
第1に、自分に合った勉強法を継続的に行なったことです。インプットには、科目ごとに(全科目ではないですが)知識を一元化したまとめノートを作りました。私の場合、規範、重要判例の事案内容及び判決、学説対立についてまとめるようにしていて、2年次(ロー1年目)秋学期までには大体作り終わるようにしました。その後は、授業でその範囲を復習した時や過去問を解いた時に抜けている知識があれば逐一書き込んでいき、最終的にはそれ見れば基本的に必要な知識を網羅的に復習できるノートを完成させました。また、自分が何度も間違える規範にチェックをつけようにして、一目で知識の定着度を確認できるようにもしていました。このノートのメリットは、勉強の軸が一本になり知識の抜けが明確になるとともに、自分の状況に合わせて自由に作成できるので、規範や判例の暗記に役立つことにあると思います。アウトプットについては、ゼミを活用して、毎週定期的に全科目に触れる状況を作っていました。開講されたゼミには全て参加し、足りない科目は自主ゼミを組むようにしていたので、それぞれのゼミの準備として課題を解いて予習することで、ほぼ全科目満遍なく起案練習をすることができました。
第2に、先生方と同期に恵まれたことがあります。先生方には、授業の課題に加えて、ゼミの起案や自主的な練習問題に対し何十通もの添削をしていただきました。お忙しい中でも、質問に行けば嫌な顔一つ見せず丁寧に対応してくださり、時には勉強方法等の相談にも乗っていただくこともありました。私たち生徒に多くの時間を割いて親身になってサポートしていただいた先生方には感謝してもしきれません。また、私は、ロースクールの同期に対してライバルという意識は全くなく、同じ目標を持ち、同じ辛さ・悩みを共有する仲間であると思っています。特に上智ロースクールは少人数であることから、同期みんな仲が良く、勉強に行き詰まった時に相談に乗ってもらったり、何か疑問点があれば一緒に議論したりしていました。精神面でも勉強面でも、同期にはすごく助けてもらいました。司法試験当日まで諦めずに頑張れたのは同期のおかげです。