上智大学法学部 Sophia University Faculty of Law

法曹コース出身の司法試験合格者体験談

Y.Wさん(男性)
2023年司法試験合格 受験回数1回
上智大学法学部法律学科卒

法曹コースの魅力を教えてください。
 法曹コースの魅力は、同じ目的を持った仲間と互いに協力しながら頑張ることができる点にあります。
 司法試験の合格には、法律の理解(法解釈)と、それを表現する力が必要と考えています。法曹コースでは、仲間との議論を通して法律の理解を深めました。また、自主ゼミで様々な人の答案を見て、自分に足りないところを学び、表現力を深めることができました。
司法試験を志した経緯、理由を教えてください。
 私が司法試験を志した理由は、自分の可能性を広げるためです。私は将来したいこと、なりたいものが多くあります。それらを実現するためには、ある程度の自由と資金が必要であると考えています。その点、弁護士は、自分の活動量を比較的自由に決定でき、また、収入面も申し分ないものと考えています。そのため、司法試験を志しました。
法曹コースに進学した経緯を教えてください。
 私が法曹コースを志した理由は、専ら金銭的な事情によります。ロースクール進学を考えた当時、学費等を、学部4年間相当の範囲に抑える必要がありました。上智の法曹コースでは、ロースクールでの授業料が全額免除になるため、学部4年間相当の学費等よりも低く抑えることができました。そのため、上智の法曹コースに進学することを決めました。
学部法曹コースでの学習状況を教えてください。

《学部2年》
 サークル活動に忙しく、期末試験の勉強以外ほとんどしていませんでした。期末試験の勉強は、直前に試験範囲の基本書を読み、そのまま臨んでいました。

《学部3年》
 民法、憲法、刑法は、TKCの短答問題を解き、間違えた箇所について基本書を読んで復習することで理解を深めました。勉強時間は、平日の大学までの往復の電車1時間と、家で復習する1時間で、週合計10時間程度勉強していました。
 刑訴法、行政法は、基本書を読んで授業の予習をし、講義を復習に使っていました。勉強時間は、基本書を読む1時間で、週合計2時間程度勉強していました。
 民訴法は、基本書を読んでもよくわからなかったので、理解できる範囲で適度に勉強をしていました。週平均で10分程度の勉強だと思います。
 商法は、個人的に好きな科目であったので、暇なときに基本書を読んでいました。特に勉強している感覚はなかったので、どの程度勉強したかは覚えていません。
 経済法は、学部3年の秋学期に基本書を1周しました。週平均で1時間程度の勉強だと思います。
 このほか、法曹コースの勉強(毎週の課題等)のために週2時間ほど使っていました。
 以上の勉強時間(講義を除く)を合計すると、学部3年では週平均で13~14時間勉強していました。

《ロー入学前(春休み)》
 ロー入学前に、自身の理解が足りないことに気づき、基本書を1周読み、また、自分で司法試験用に規範集を作成しました。
 規範集の作成方法は、民訴法以外は、基本書を読んで、規範をノートに書きこむというものです。基本書の内容を理解できないと規範作成はできないので、この作業を通して自身の理解を深めることができました。
 民訴法は、基本書を読んでもよく分からなかったため、予備校の規範集を購入し、民訴法のエッセンスを理解した上で、予備校の規範集を参考にしながら、他の科目と同様の方法で規範集を作成しました。
 なお、このときに作成した規範は、正確性を確保するために表現が冗長になっていました。そのため、ロースクールで司法試験の答案作成をしていく中で、表現をブラッシュアップしていました。
 作業時間はあまり覚えていませんが、毎日平均して2~3時間を使用していたと思います。

法曹コース生としてロースクールに進学する場合、2年生として入学することになり、3年生の7月には司法試験を受験することになります。つまり、ロースクール入学から1年3か月ほどで司法試験を受験するというハードなスケジュールだったかと思いますが、ロースクールではどのように学習されていましたか?

《入学~3年生進級時》
 ロースクールでは、予習で講義の範囲の基本書を読み、講義を復習に使っていました。期末試験の1か月前から、試験範囲の規範を勉強するため、作成していた規範集を頭に叩き込んでいました。
 また、短答試験対策のため、大学までの電車の往復でTKCにある司法試験の過去問を解いていました。
 このほかに、一、二週間に一回の頻度で、法曹コースの友人らと自主ゼミを行っていました。司法試験の過去問を解き、互いに答案を送って、ゼミでそれぞれの足りないところを指摘しあうというものです。

《司法試験直前(3ヵ月前くらい)》
 基本的には、上記と同じような勉強をしていました。ただ、規範で覚えきれていないところは追加で勉強していました。
 また、表現力が足りていない点があったため、過去問を再び解き、先生方に添削をしてもらっていました。

 ロースクールでは、講義時間を除いて、平均して毎日3~4時間勉強していたと思います。
司法試験合格に必要なことを教えてください。
 スキル面では、事案分析能力と文章表現力が必要になると思います。事案分析能力は、問題文からどの論点が問題となっているかを判断する能力です。文章表現力は、採点者が読むに堪える表現で答案作成をする能力です。どちらも、過去問を解いて添削をしてもらい、自分に足りないところを分析する中で身につくと思います。私は、毎週の過去問演習と自主ゼミを通してこの力を身につけました。
 ナレッジ面では、その場で規範を作成できる程度に基本書を理解すること、規範を覚えることが必要になると思います。その場で規範を作成できる程度に基本書を理解できないと、事案に応じた規範作成やあてはめが難しくなると思います。そのため、基本書の理解は大切だと思います。規範を覚えることは、時間節約のために必要になります。いわゆる典型論点については、他の受験生は規範を覚えて試験に臨んでいるため、その場で規範を作っているのでは時間が足りなくなってしまします。そのため、ある程度の規範を覚えることは必要になると思います。どちらも、基本書を読み、規範を覚える時間をつくることで身に着くと思います。私は、規範を自分で作成することでこの力を身に着けました。自分で規範を作らなくとも、ロースクールが提供している規範集や、市販の規範集で勉強するので足りると思います。
 マインド面では、「ここまでできれば大丈夫。」と思わないことが大事だと思います。受験者は最低限の勉強をしており、皆「ここまで」の範囲は勉強していると思います。より深い理解を示し、より的確な表現をすることで、他の受験生と差をつけ、合格に近づいていくと思います。