(2018年2月 6年ぶり
留学先のフランス再訪時にて)
清水 梨衣(国際関係法学科、2014年卒)
アクセンチュア株式会社
私は現在、アクセンチュアという会社でマネジメントコンサルタントとして働いています。大学卒業後はベンチャーの同業会社に就職したのですが、その後転職し、現職では、クライアント企業のゴール達成に向けた戦略の実行支援を行っています。
実行支援となると、実際に人・モノ・お金を動かす段階になるため、多くの関係者を巻き込む必要があり、社内外含め多様性に富んだメンバーと共に仕事をしています。この多様性には国籍はもちろん、財務やマーケティング等の各会社機能の専門家、データサイエンティスト等のテクノロジー分野の専門家といった、能力・専門が異なる場合もあります。そうした多様性チームを動かすために必要なのが、相手に理解してもらい、行動に移してもらうよう説得できるコミュニケーションです。そこに必要な能力の素地は、上智大学時代に培われたと考えています。
まず、大学3年生で仏パリ政治学院へ交換留学する機会に恵まれ、このコミュニケーション課題に直面しました。留学先では大人数の講義型ではなく、議論や学生による発表を中心とした少人数のゼミ型での授業がほとんどで、自分の意見を発信することが重視されていました。ただし、ただ発言すればよいのではなく、「なぜ?」を徹底的に突き詰める文化があり、浅い考えで発言すると、議論では太刀打ちできなかったことを覚えています。その経験から、共有する前提や背景が少ない相手に理解してもらうため、何を伝えるべきかを深堀りして思考するようになりました。
帰国後に所属した川瀬教授の国際経済法ゼミでは、さらに説得に必要な論理力を鍛える機会に恵まれました。ゼミでは参加学生を2つのチームに分け模擬裁判を行い、各チームで意見書(問題の事実関係及び自国の主張を示すドキュメント)作成を行いました。意見書の主張内容は一貫して論理的かつ説得力あるものが求められ、よくチーム内で議論を重ねたのを覚えています。また、終始一貫、教授から貴重な示唆や厳しいご指摘をいただき、法律だけでなく、論理的かつ説得性のある主張をするための論理構築についても鍛えていただきました。
私の職業に限らず、社会に出てからは、上司・顧客を説得する、チームの協力を仰ぐという機会の折々に自分の考えを伝えるという行為は重要になります。そこで、法学部で学ぶ論理構築のアプローチは、法律実務家だけでなく異なる職業にも汎用的なコミュニケーションの基礎であり、それを鍛錬できる場が上智大学にはあると思います。また、コミュニケーションの中身にあたる自分の考えは、その人その人の経験から醸成され、深みを増すものです。ここでは私の留学とゼミの経験をご紹介させていただきましたが、それ以外にも様々な経験ができる機会が上智大学にはありますので、上智大学というプラットフォームを自分の成長のために思いっきり活用して、世界を広げるような色々な経験をしてみてください。
(2018年9月)
学校案内(2014年度版)を飾る在学中の清水さん