上智大学法科大学院 Sophia Law School

科目紹介

法曹としての真の実力を養う法律基本科目 ― 充実の教授陣が鍛えます

憲法基礎

巻 美矢紀
教授 巻 美矢紀

 憲法は、小学校から学んできたもので、しかもニュースなどで取り上げられることも多いので、法の中で最もなじみがあるものかと思います。これまで学んできたことは一般市民としての最低限の知識ですが、これからは憲法を専門的に学びます。

 憲法も法であり、他の法律科目と同様、解釈を学びます。憲法は法律と比較し、抽象的な文言が多く、その解釈においては、歴史をふまえた比較法的理解が特に必要になります。

 最終的な目標は、法の専門家として、憲法に関する具体的な事案を分析し、合憲性を判断しうる能力の涵養ですが、そのためには、分析や判断の道具が必要になります。「憲法基礎」では、その道具となる判例や学説の基本的な理解を学びます。「憲法はセンスだ」といわれることがありますが、他の法律科目と同様、結局は、本人の努力にかかっています。「憲法基礎」では、みなさんの努力が報われるよう、基本的な道具のポイントをきちんとおさえるためのお手伝いをします。

民法Ⅱ

小山 泰史
教授 小山 泰史

 ここでは、民法 I ・ II 、とりわけ後者について、民法の全体の履修の流れの中での位置づけを示しながら説明します。

 春学期の民法 I(総則・物権・担保物権、家族法の一部を含む)を経て、民法 II(秋学期)では、債権総論・各論を中心とした分野につき、簡単な設例を用いて、条文上の要件・効果と解釈論、制度趣旨、事案への当てはめを検討します。この授業と平行して、民事の要件事実を扱う「訴訟実務基礎(民事)」の授業を受けることで、契約等に関する要件事実論についても理解を深めていきます。これらの科目は、法学既修者対象であるため、一定の基礎知識があることを前提とし、そのうえで、制度趣旨が要件効果論や事案への当てはめへと論理的に繋がっていることを理解してもらいます。3年春の民事法(総合)では、より長文の事案を素材として、生の事実の持つ法的意味、事案に対する法的構成の選択を検討することになります。その前提となる能力を養うのが民法 I ・ II の目的です。

行政法

小幡 純子
教授 小幡 純子

 行政法は、司法制度改革により、2006年の新司法試験から司法試験の必修になった科目で、いわゆる六法には入りませんが、わが国の法律の9割が行政法領域に入ると言われるほどに、大変幅が広いことが特徴です。環境法、経済法、租税法などの選択科目の基本ともなっています。警察行政や環境保護、社会福祉をはじめ、食品衛生、マンション建設や原子力発電所の規制など、多様な法律問題を題材にするため、最初はその多様さに戸惑うかもしれませんが、いずれの行政活動にも通ずる基本理念や法制度を身に付けることによって、未知の設例にも対処できる応用力を磨くことが大切です。行政法の主眼は、行政権の恣意的発動から国民の権利利益を守るとともに、広く行政活動をチェックして適正化することにあり、その重要性は増しています。 

民事訴訟法Ⅰ

原 強
教授 原 強

 民事訴訟法は、民法や商法などの民事実体法が一定の要件のもとに認めている権利の実現にとって不可欠な存在であるといっても過言ではありません。民事実体法が一定の要件のもとに権利を認めていても、義務者が任意履行しない場合に、権利を強制的に実現するための制度がなければ、権利があるといってみたところで画餅に等しいといわざるを得ません。民事手続法である民事保全法、民事執行法とともに民事訴訟法の理解があってこそ、実体法の知識も最大限効用を発揮するものとなります。

 民事訴訟法 I の授業では、民事訴訟手続の基本構造、民事訴訟の基本概念を再確認しながら、実際の判例や、さまざまな設例をもとにして、民事訴訟法に関する基本的理解を深めるとともに、事案分析能力、法適用能力、個別具体的な事案に対する問題解決能力を修得できるよう、双方向授業により進めていきたいと考えています。また、民事訴訟法の理解を困難なものにしているものと思われる民事裁判の実際の手続についても、随時紹介しつつ、静的平面的な理解にとどまることなく、動的立体的な理解を得ることができるよう授業を展開していきたいと考えています。

模擬裁判(民事)(刑事)、リーガルクリニック

岩崎 政孝
教授 岩崎 政孝

 法科大学院は、実務法曹を養成する専門職大学院として、法律実務の基礎科目を学ぶことが大きな特徴です。上智大学の法律実務科目は、経験豊かな実務家教員が中心となり、研究者教員と連携して授業を行います。

 民事と刑事の模擬裁判は、法科大学院での学修の集大成と言える科目です。実際の事件を素材にした興味深い事案につき、教員のアドバイスを受けながら、受講生が手続を進めます。裁判の過程では、①多くの社会的事実の中から重要な事実を見つけ出し、事案特有の問題点を克服して的確な法的構成を導く事案分析力や、②自らの主張を説得的に展開し、証拠や経験則による適切な事実認定を獲得する法的論証力が実際に試されるため、法律基本科目の学修の成果を活かして、法曹として不可欠な能力を磨くことができます。

 リーガルクリニックは、第一線で活躍する弁護士講師とともに、実際の法律相談や模擬法律相談を行います。講師のコメントやレポートへの添削は、基本科目の学修の振り返りと実務的スキルの確認の得難い機会になります。

 実務科目は、皆さんが法曹として活躍する将来に繋がる主体的な試行錯誤の場です。

刑法

佐藤 結美
准教授 佐藤 結美

 この授業は刑法総論・各論の基礎知識を前提として、事例問題を解く練習をしてもらうことを予定しています。司法試験では論文試験はもちろんのこと、短答試験でも具体的な事例を題材とした問題が出題されますが、事例問題を解くためには、身に着けた知識を適切な場面で取り出して、適切な方法で使う必要があります。授業を履修する皆さんには、知識を盤石なものにした上で知識の活用方法の基礎を身につけ、3年生で履修する総合科目につなげていただければと思います。

 刑法は学説の対立が激しく、覚えることが多くて大変だと言われることがあります。ですが、わからなくなった時には「この議論は何のためにしているのか」「判例と学説の対立によって結論がどのように変わるのか」ということに着目して考えてみることが必要です。