上智大学法科大学院 Sophia Law School

法科大学院長からのメッセージ


巻 美矢紀
(法科大学院長)

 今年度から、上智大学法科大学院は新たにスタートします。昨年度から、起案演習等の充実化を図るカリキュラムが始まりましたが、さらに課外の学習支援や修了生支援をよりいっそう充実させ、みなさんの信頼に応えて一人一人に寄り添った教育および支援ができるよう、教職員一同、最善を尽くしてまいります。
 昨年度から始まった演習科目の充実化として、2年生以降のクラス制があります。クラス制は、在学中3年次の司法試験受験・合格を目指すクラスと、従来通り修了後の受験・合格に向けて着実に実力を身につけていくクラスに分けることで、客観的なニーズを充たす実質的な支援の強化を可能にするものです。数年前に導入した進級試験制度も、こうした実質的な支援の強化に向けた取り組みの一環です。
 上智大学はキリスト教ヒューマニズムを基礎にした教育理念として、「他者のために、他者とともに」を掲げており、本学法科大学院も、この理念に共感し実践できる法曹の養成を目指しています。また上智大学は多様性を重視しており、本学も、他学部の出身や社会人経験のある者など、多様なベースをもつ法曹養成を本来想定した、未修者教育にも力を入れてきました。今後も、演習的な法学実務基礎科目を充実させるなど、未修者教育も重視していきます。
 本学の魅力として、上智大学といえば思い浮かぶであろう、国際関係法系科目や環境法系科目の充実があります。その一環として、大手法律事務所の協力を得た「国際仲裁・ADR」や、「環境法政策プログラム」を提供し、参加学生だけでなく、外部からも高い評価を受けてきました。
 とはいえ、本学の最大の魅力は、短期合格した修了生みなさんが指摘するように、少人数教育にあるといえるでしょう。少人数のため、教員・学生間の関係が、高校でのそれに似ています。大学での大講義よりはるかに質問しやすいですし、きめ細かい指導や助言を受けられる環境です。この少人数ならではの環境を上手く利用することができた者、すなわち、教員に質問することに抵抗感をもたないくらい、自ら勉強し考えぬいた者は、短期合格を手に入れています。本学のGPAと司法試験合格率の高い相関性は、このことを示唆するものといえます。
 今や、彼ら・彼女らが、法曹として活躍する傍ら、講師やチューターといった指導する側として、本学の教育に熱心に協力してくれています。上智大学法科大学院の新たなスタートを機に、この貴重な好循環を拡げていきたいと思います。